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「彼女について」「デッドエンドの思い出」よしもとばなな
よしもと ばなな
文藝春秋
(2008-11-13)

ちょっとしたきっかけがあって、「よしもとばなな」を読んでみるかと思った。

縁あって(?)選んだこの2冊を読んでみて、
(なるほど〜、「ばななワールド」という言葉があるわけだ)
と感じた。

登場人物たちの共通する(2冊しか読んでないけど)
「寛容さ」が、私には好ましくそして重く感じられた。
それを「緩い」とか「ぬるい」とか感じる人もいるのかもしれない。

軽んじられてしまうことも含めて、
「寛容」は攻撃の対象になることさえある。
そもそも、許したり、受容する行為にはそれなりの「覚悟」が必要だ。
しかも、「覚悟」は内に秘めたもの。
中には「覚悟」を生まれ持ってきたために、
その存在自体を特に意識しないでいる人もいるだろう。
内側に当たり前に「覚悟」が存在している人は、
穏やかでありつつ掴みどころのない飄々とした雰囲気を醸し出している感じ・・・
ではないだろうか。
まさに「ばななワールド」の住人の主要人物たちは、
そういうタイプが多いのだろう。
と、断言までしていいのかわからないが。(2冊しか読んでないって!)

「彼女について」の由美子の場合。
彼女の母と叔母は双子の姉妹であったが、
魔術に取り憑かれた母親に翻弄された子供時代を生きた。
叔母は葛藤しつつも「覚悟」を獲得していくが、
由美子の母は「覚悟」と向き合うことを知らぬまま
その母親の歩んだ悲劇への道を進んでしまう・・・

そんな母に育てられた由美子の人生は、
一見救いようのないものにしか見えないけれど、
本当は、「出来事」そのものよりも「思い」の方が重要なのだ。
「覚悟」を持って生まれてきたとはいえ、
悲劇の「出来事」から受けた傷は大きかった。
けれど、「思い」はそれを越え永遠に進化し続けるもの。
「出来事」を過去のものにしてくれる。
叔母の敦子の「思い」に導かれ由美子は回復していく。
「目覚め」た後の、穏やかでキラキラした2人の言葉のやりとりがいい。

「覚悟」とは「目覚め」そして「悟る」こと。
個人的で静かな行為。
自分や他人の雑多な「感情」の渦の中にあって、
首一つ分だけでもスッと抜き出て景色を見渡す・・・
その事を知っている人生を生きることで、
「覚悟」は育てていけるものだと思う。

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